Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

2017-01-01から1年間の記事一覧

久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった。

久米宏という人は、頭の回転と同じくらい舌の回転の早い人だという印象がある。ザ・ベストテン、ぴったしカン・カン、TVスクランブル、おしゃれ。どの番組も観ていた。それらをすべて降板して、はじめたのがニュースステーションだった。 思えばニュースステ…

映画 わたしを離さないで

WOWOWで観た。最初に本を読んで衝撃を受け、映画が公開されたとき、まだ自分なりの映像が鮮明に脳裏に刻み込まれていたから、とても観にいけなかった。怖すぎたから。その後、日本でテレビドラマになり、期待せずに観たら素晴らしく良かった。原作の世界観が…

浮世の画家

現実と小説の関わりを考えて見るとき、実際にあったことかフィクションか、といった二分法で考えがちだが、そう簡単にはいかない。実際にあったことは、それを見る人、語る人によって変わってくる。それに時間的経過が加わると、過去の出来事は記憶をたどっ…

己を、奮い立たせる言葉。

電通にいた岸さんが書いた本。今も広告業界の仕事の範囲を広げつつ先頭を走っている人だ。この本は、その岸さんが自分に向けて、ツイッターなどに書いた言葉だ。この人の仕事を知っているからだろうが、本当にぎりぎりの時に、さらに先へ行くために、あるい…

博士の愛した数式

小川洋子さんの本を初めて読んだ。面白かった。博士のキャラクター設定が強引と言えば強引なのだが、それを「そういうものか」と思って先へ進めば、物語の世界にすうっと入っていけた。なんというか、なめらかなのだ。ミステリー小説などはごつごつした印象…

映画 ブレードランナー2049

この世界観は本当に好きだ。工場跡のような巨大な廃墟と降り続く雨。濡れてしまうと人間も無機物も同じようにもの悲しく見える。空飛ぶ自動車、すべてがエネルギーでコントロールされる建物や住居。未来の世界のはずなのだが、人々が集う場所に踊る文字は日…

人形は指をさす

イギリスの新人ミステリー作家の作品。ロンドンの中央刑事裁判所、通称オールドベイリーに向かう一人の女性陪審員の描写から始まるのだが、とても視覚的な描写で素晴らしい。すぐにも映画にできそうだ。結審の日、27日間で27人の少女を惨殺、しかも焼死させ…

マンガで読む「応仁の乱」

最近なぜか応仁の乱ブームだそうで、本屋には何種類もの本が平積みになっている。その中で、一番読みやすそうなマンガ文庫を買ってみた。それでも、人間関係が複雑で、最初は敵だったのに後で味方になったり、全体像を正確につかむのはかなり難しい。で、わ…

伝わる・揺さぶる! 文章を書く

ずっと読んでみたいと思っていた本。どうやって、文章を教えるのかが知りたいと思っていたのだ。この本を読んで確かに、日本人は学校教育の中で、しっかりとした文章の書き方は習っていない。自由に詩を書かせたり、読書感想文はかいた覚えがあるが、「ター…

ボクたちはみんな大人になれなかった

一つ一つの出来事は自分とは重ならないけれど、自分が過ごしてきた時代の東京の空気がよく描かれている。先が見えなくてやるせない思いとか、徹夜しながら自分の仕事の意味を疑ってみたり、彼女と一緒にいるときの胸中だとか、いろいろなことを思い出した。…

伝え方が9割

この本がベストセラーになっているのを知っていたし、コピーライターが書いた本だということで気になっていたので、図書館で借りて読んでみたが、苦手なタイプの本だった。観察力も分析力も凄いと思う。でも、なんども同じ事を繰り返し、本題に入る前に「こ…

新しい分かり方

佐藤雅彦さんの新刊。広告業界にいた頃から、新しい伝え方の方法を発明してきた人だ。ピタゴラスイッチも佐藤さんの作品。さまざまな事象を観察し比較し分析し実践する。科学的な思考法がしっかり身についているのだ。科学的だからつまらないかといえば、そ…

誰か

宮部みゆきを読んだのは初めてかもしれない。力量を感じるが、ハードボイルド好きなわたしには、形容詞句の多さがすこしつらい。途中から速度を上げて読み進めたら、気にならなくなった。一字一句読むのをやめたということだが。 普通のサラリーマンが探偵を…

ミスター・メルセデス

さすがはスティーヴン・キングという他はない。どこに連れて行かれるのだろうかと思いながら、想像をあっさりと裏切られ、視覚的な印象を強く残す。映画にしたくなるストーリーだ。大量殺人を実施し、また次の機会を狙う犯人。コンピュータやハイテクに強い…

映画 三度目の殺人

久しぶりの邦画。テレビで紹介されたのを見て、映画館に行ったのだが、なんともいえない満たされない感じが残った。殺人の前科のある男がまた殺人を犯した。毎回言うことが変わり、手に負えなくなった弁護士は、同僚の弁護士を連れてくる。裁判は戦略だと信…

映画 ダンケルク

2D IMAXで観たが、とても刺激的な映像だった。臨場感がすごい。とくに戦闘機のシーンでは、まるで飛行機に乗っているよう。スピットファイアの銃撃が敵機に当たれ、当たれと祈らずにはいられない。ロアルド・ダールの「飛行士たちの話」を思い出した。戦闘機…

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

タイトルを読んで惹きつけられた。女性の著者は、何歳までが女子なのかと論考するのである。なんだかおかしいよなと思うことが世の中にはたくさんあるが、著者はさまざまな事象を明解に分析してくれるのだ。とにかく文章がうまい。あいまいな言葉で表現され…

ミステリマガジン700海外編

この本にはミステリマガジンの第1号から700号まで、58年間に掲載された小説の中から単行本未収録作品に限り、編者の杉江氏が選んだ16の作品がまとめられている。ずいぶん古いものもあるのだが、どれも面白い。いい作品は古びない。「犬のゲーム」では、犬に…

作詞入門

この本の初版は1972年。阿久悠が絶頂期を迎えていた頃だ。作詞家として新しい領域を切り開いた大家であるが、とてもマーケティング的に物事を、いや世の中を俯瞰しながら理詰めで考えていた人だったのだとわかる。マーケティング的という言い方は、作家など…

あの頃

武田泰淳の奥様のエッセイ集だ。師匠に勧められて読み出したが、なんとも軽やかだ。思いついてふっとペンを持って書き出してしまったような自然体で文章が進む。景色や町を行き交う人々の描写もうまい。なるほど。エッセイとはこうあるべきなのか。とても真…

小さな習慣

書店で平積みになっていたので、手に取ってみた。「腕立て伏せ一回を習慣にした」ことからすべてが変わったという著者の言葉にふーんと思いながら、本を閉じて本に戻した。でも次の日、その言葉が気になっていて、この本を買うことにした。はじめに読んだと…

多動力

堀江貴文という人は面白いなあと何年か前から思っていたが、はじめて本を読んだ。現代の「書を捨てよ、町へ出よう」である。自由に発想して、好きなことをして、よく寝て、自分の人生を生きよう、という話だ。スキルですらないと思うし、その通り、と思う読…

ダーリンは70歳

西原理恵子さんの漫画である。ダーリンはもちろん高須クリニックの院長だ。相撲中継によく二人で映り込んでいて、おもしろいカップルだなあとずっと思っていた。この漫画を読んでみると、なんだかかわいいカップルなのだ。西原さんの漫画は好きで読んでいた…

紙の動物園

ケン・リュウという中国系アメリカ人の短編集。SFのジャンルになっていて、早川から出ている。とても評判が良かったので読んでみたがなるほど面白い。表題作もとてもいい話でSF的ではないが、他のSF色の強い作品も、ファンタジー的な作品も面白い。最新科学…

映画 3月のライオン後編

物語を紹介した前編からさらに、この世界観に踏み込んだのが後編だった。終盤のストーリーは原作の漫画とは違っていたが、むしろそのことで、戦いと希望のドラマを完成させた。登場人物たちは皆、必死で、全力で戦う。高校生のプロ棋士はもちろん、妻を亡く…

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

元マイクロソフトの伝説のプログラマーの実践的な時間活用術である。以上。という感じの本なのだ。なにしろ、朝4時からよるの10時までぶっ続けで仕事をしている人で、真似しようという気にすらならない。それでも、一つ一つを見ていけば、真似できることもあ…

その雪と血を

いきなり、殺し屋が相手を殺した後の描写からはじまる。白い雪の上に赤い血がひろがる情景がなまなましい。殺し屋はちょっといかれていて、ボスの雑用など細かな仕事はできない。だが、手口は大胆で死を恐れないから、殺しの仕事を引き受けている。打算はし…

杉山愛の“ウィッシュリスト100”

買うほどでもないかなと思い、図書館にリクエストを出していたが、9ヶ月後にようやく借りることができた。人気の本なのだ。現役時代の杉山愛が練習しているところを見かけたことがある。男性のヒッティングパートナーとものすごいラリーをしていたのを覚えて…

村上春樹『騎士団長殺し』34の謎

村上春樹の新作小説について、翻訳家とゲーム監督が対談したものをまとめた本。村上春樹は好きな作家で、創作はすべて発表のタイミングで読んできているので、他の人の評論などは読まないのだが、鴻巣さんだし、短いし、Kindleだと250円だし、ということで読…

書く力

報道の世界にいるプロ二人が文章の書き方について、相手の手札を見ながら会話をする。読みやすく、しかも実例がいちいち納得させてくれる実用本。さすがは池上さん。すぐにまねできそうなヒントもあるが、結局のところ、とにかく本を読んで、使えそうな材料…