Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

博士の愛した数式

小川洋子さんの本を初めて読んだ。面白かった。博士のキャラクター設定が強引と言えば強引なのだが、それを「そういうものか」と思って先へ進めば、物語の世界にすうっと入っていけた。なんというか、なめらかなのだ。ミステリー小説などはごつごつした印象の物語展開のものも多いのだが、この本はすんなりと進行していき、けっして安易なストーリーにはなっていない。何度も何度も語られた昔話のように進む、かわいくてちょっと切ない物語だ。博士以外のキャラクターもしっかりと描かれているので、読むだけで楽しい。数学の難解さを、数字がつきもののスポーツである野球を引き合いに出して語るところが、なんともうまくいっている。いろんな題材に物語を見つける事ができるのが作家なのだなあと改めて思った。

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)