Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

坊やはこうして作家になる

言葉の問題を考えていて、過去の自分のノートを見直していたら、次のような引用文をメモしているのを見つけた。

「日本人の傲慢さは言葉で関係を作ろうとしないことである。言葉をつくして双方のために論理を重ねようとしないことである」

「日本人は考えなくてもいい状態が大好きである」

「日本語は支配原理のための言葉になりやすい。慎重に理知的に思考をめぐらせることの苦痛を目の前にすると、日本人は思考をあっさりと放棄するからだ」

「人は自分が獲得している言葉の質量の人生しか生きることができない」

これをメモした日付は2016年。本棚で表題の本を見つけ、奥付を見たら2000年2月。初版で買ったはずだから、20年以上も前にこの言葉に出会っていたのだ。特に最後に引用した言葉に目が釘付けになった。

生成AIなど、言葉が鍵となる時代が来たというのに、抽象的に考えるための言葉をどけだけ自分のものにできているのだろうか。もう一度、この本を読み始めようと思う。