Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

2023-01-01から1年間の記事一覧

坊やはこうして作家になる

言葉の問題を考えていて、過去の自分のノートを見直していたら、次のような引用文をメモしているのを見つけた。 「日本人の傲慢さは言葉で関係を作ろうとしないことである。言葉をつくして双方のために論理を重ねようとしないことである」 「日本人は考えな…

じゃむパンの日

赤染晶子さんのエッセイ。なんて軽やかな、ユーモラスな文章なのだろう。こういう人に私はなりたい。リズムが良くて、ユーモアの分量がちょうど良くて。京都の人だから? 嫌みの代わりに諧謔で語るというような。こんなエッセイを書く女性が他にもいたよなあ…

街とその不確かな壁

村上春樹の新刊。世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの物語構造で、ストーリーが進む。でも、今回の新作の基になった中編がもともとあって、その書き直し的にハードボイルド・・・を書いたということらしい。そして、今回、書き直しをしたということだ…

メタモルフォーゼの縁側

ひとりの高齢の女性がたまたま本屋で手に取った漫画が好きになり、どんどん続編を読みたくなっていく。本屋でレジをしていた、アルバイトの女子高生が、それを見て、おやっと思う。自分は、その漫画、BL漫画が好きなのだが、なんとなく後ろめたくてそのこと…

パリの空の下で、息子とぼくの3000日

辻仁成の小説は読んだことがない。中山美穂とのことだとか芸能ニュースの人だと思っていたので関心がなかったのだが、NHKでパリ暮らしの番組を観て、変人ではあるがなかなか面白い人だと感じた。で、この本を読んでみるととても面白かった。 パリでシングル…

音楽は自由にする

坂本龍一という人は、学究肌で物静かな人なのだと勝手に思っていた。クラシック音楽が主戦場なのかと思っていた。YMOの三人はずっとわかり合っているのだと思っていた。ラストエンペラーの映画音楽は、緻密に計算されて映像に合わせられていたのだと思ってい…

僕は珈琲

珈琲が呼ぶ、の続編となる、珈琲にまつわる記憶やストーリーが書かれている。映画の中で登場人物が珈琲を飲むシーンについての話は面白い。そんな視点で映画を観ていないからね。珈琲についての歌を探し回る下りも面白い。日本に珈琲が入ってきてまもない頃…