Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

僕は珈琲

珈琲が呼ぶ、の続編となる、珈琲にまつわる記憶やストーリーが書かれている。映画の中で登場人物が珈琲を飲むシーンについての話は面白い。そんな視点で映画を観ていないからね。珈琲についての歌を探し回る下りも面白い。日本に珈琲が入ってきてまもない頃の流行歌のことで、まだ歌謡曲とも呼ばれていない時代のことだ。マグカップの話もコーヒー豆の話も興味深い。そして喫茶店の話となると、これはすっかり片岡義男だ。そこで原稿を書き、編集者と話し、ストーリーのきっかけをつかむ。神保町と下北沢の喫茶店がよく登場する。

この本を読んでいると珈琲が飲みたくなる。読みかけのこの本を持って、たまたま打ち合わせ場所だった神保町へ行き、昔ながらの喫茶店のカウンターで、珈琲を飲みながら最後まで読み終えた。そして、学生時代の頃のことをいろいろと思い出した。あの頃していたこと、やりたかったこと、漠然とした未来と不安についても思い出した。過去のこととして手放してもいいことはもうそのままでいいのだけれど、ただ忘れていただけのことと思い出そうとしていなかったことをまた引っ張り出そうと思った。珈琲を飲むひとときはとても大切なんだね。あらためて。

 

僕は珈琲