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映画 ダンケルク

2D IMAXで観たが、とても刺激的な映像だった。臨場感がすごい。とくに戦闘機のシーンでは、まるで飛行機に乗っているよう。スピットファイアの銃撃が敵機に当たれ、当たれと祈らずにはいられない。ロアルド・ダールの「飛行士たちの話」を思い出した。戦闘機の戦いのシーンだけずっと観ていたかった。「永遠の0」も零戦の戦闘シーンはよく描けていたと思ったが、いやあ、こんなのは初めてだ。
この映画は、ナチスドイツがフランスに攻め込み、北部のダンケルクまで追い込まれた英仏軍を対岸のイギリスまで船で脱出させようという作戦を描いている。この作戦の事は聞いたことがあったが、それはわたしにとって歴史の中の挿話にすぎなかった。が、この映画で、戦争のリアルな悲惨さを再認識させられた。ハリウッド映画でも多くの場合、兵士たちは敵の銃弾にあたって死んだ味方のために、敵に怒りをぶつける。スナイパーによって、砲撃によって。だが、前線の兵士たちは銃弾で斃れるよりも、おそらく、水没する船の中で窒息死し、墜落した飛行機によって引火した水面の重油の業火によって焼かれた方が多いのだ。戦闘中ではなく待機中や転戦中の死はどれほど無念なことだろうか。
英国の民間人が、敵と戦う国民の一人として兵士たちを救出しにいく。こうした思いは、現代を生きる我々が戦争に直面したとき、もてるものだろうか。
この映画を通じて、兵士の気持ちになったなどと言うつもりはないが、戦争のリアルを垣間見たとはいえると思う。あっという間に時間が経った。