Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

2017-01-01から1年間の記事一覧

殺し屋を殺せ

ビルから出てきた男は、殺し屋に命を狙われていた。無防備に人前に姿をさらしたと思った瞬間、爆発の轟音が鳴り響く。だが、男は無事だった。殺されたのは、その男を殺すために組織に雇われた殺し屋だった。 殺し屋に命を狙われたターゲットから依頼を受け、…

持続可能な資本主義

著者の新井さんのことは、ほぼ日の糸井さんとの対談で知った。投資信託会社を立ち上げ、自分の目で見て経営者と話をして投資先を決めるというやり方で、着実な運用実績を上げている。日本の会社を応援するということも、この会社の趣旨なので、投資対象は日…

同時通訳者の頭の中

以前読んだ本を再読。この本で伝えようとしていることは、「イメージ力」と「レスポンス力」を鍛えようということ。英語で話されていることを単語を追うのではなく、伝えようと強いることそのものをイメージとしてとらえること、そして、反射のように言葉を…

怖いくらい通じるカタカナ英語の法則

英語の発音は難しい。英語の得意な友人は正しい口の形で正しい音を出すように訓練して、それなりの成果をあげているが、私には難しい。なので、アクセントと抑揚と言い換えを駆使して、なんとか日本人英語でこれまでやってきたのだが、発音問題はなんとかし…

村上春樹翻訳ほとんど全仕事

村上春樹が翻訳した本は何冊も読んでいたけれど、どこかで作家村上春樹の余技のように思っていたところがあって、作家はやはり文章がうまいなあ、といった平凡な感想しか持っていなかった。この本には翻訳家としての村上春樹の成り立ち方が描かれている。高…

映画 おおかみこどもの雨と雪

テレビで観たのだけれど、なかなかおもしろかった。大学に通う主人公の花は、もぐりの学生だった彼と付き合い始める。彼はトラックの運転手をしていたが、実は狼男であることを告白する。が、花の彼に対する愛情は揺るがず、二人は一緒に暮らし始める。そし…

映画 3月のライオン前編

マンガもTVアニメも見ていたが、映画館にも足を運んだ。最近の邦画はマンガの原作を実写化したものが多く、どれもマンガをなぞっている以上のことをしていないという思いがあったが、この映画はマンガのキャラクターに似た俳優を登場させていたが、それ以上…

ぼくらの仮説が世界をつくる

著者の佐渡島さんは、日本で作家のエージェントをする会社を始めた人だ。今は漫画家の作品をデジタルで直接読者に販売する仕組みを作っている。日本ではエージェント業はあまり聞いたことがない。この本の中で、村上春樹が海外で受け入れられたのは、海外ラ…

自分を捨てる仕事術

かつてスタジオジブリで、鈴木プロデューサーの下について、「とにかくオレの真似だけしていろ」と言われて、素晴らしいプロデューサーになった人の本。いくつもなるほどと思わせてくれるところがあった。もう若くはないから真似はできないなあと思わず、真…

映画 LA LA LAND

とてもよかった。最後のシーンの二人の表情に、それぞれがしっかりと自分の道を歩いてきた時間と自信が現れていた。 この映画は、少女漫画的だなあと思った。主人公の主観で物語が進んでいくから、ダンスを始めても、歌を歌いだしてもそれほど不思議はない。…

騎士団長殺し

主人公の私は、肖像画を描いて生計を立てている。突然、妻から離婚を切り出され、あまりのショックにそのまま車に飛び乗って北へ向かう。仕事も辞めて、あてもなく東北を彷徨う。関東に戻ってきた私は、友人の父である高名な日本画家が住んでいた山の上のア…

映画 沈黙

映画を観に行ってきた。約3時間にもなる大作でエグゼクティブシートでもお尻が痛くなる。ほぼ原作に忠実に作られており、スコセッシ監督の原作に対するリスペクトを大いに感じた。基督者への拷問のシーンは小説を読むだけでも切なかったのに、映像で見せつけ…

沈黙

以前からずっとこの本のことは知っていて、でも手を伸ばさずにいた。しかし、今回映画化されることになり、マーティン・スコセッシのドキュメンタリーをTVで観て、映画を観たくなった。そして、この本も読むことにした。 キリスト教信仰を禁止された江戸時代…

東京タラレバ娘

テレビドラマの第一回目を観たら、面白かったので原作コミックを読んでみた。アラサーの女子たちが、「・・・だったら」「・・・ということになれば」という妄想ばかりで、実際の行動に移せない様子を描いている。台詞や状況がとてもリアルで納得できる。人…

忘れられた巨人

カズオ・イシグロの作品は、毎回、スタイルも時代設定も異なる。それなのに、人間を主題にしているので、読後はいつも考えさせられる。今回は、アーサー王が死んだ直後の時代の英国が舞台だ。人々はものごとを長く覚えていることができない。村のルールも、…

ライフシフト

2007年に生まれた子どもの50%は、100歳まで生きる確率が50%だという。寿命が伸びてよかった、というだけではない。生活費を考えると80歳過ぎまで働かなくてはならないという。となると企業は定年の年齢を考えなくさなくてはならなくなるし、政府も年金制度を…

禁忌

主人公はある日、女性誘拐容疑で逮捕され、刑事の脅しにより犯行を自供し、裁判にかけられることになる。マスコミは、有名写真家による猟奇的殺人と書きたてるが、被害者は見当たらず決定的な証拠もない。監禁されているという女性から警察へかかってきた電…

伯爵夫人

昨年の話題図書をようやく読んだ。7月に貸出申請をしてから、ようやく年末に私の順番が回ってきた。内容はエロ小説といってしまえば、それっきりだが、耽美的な文章による日本語の芸術作品といったところか。 伯爵夫人は、欧羅巴や上海で暮らしたことの妙齢…

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

前半はおおげさな描写とご都合主義の設定、甘い会話などライトノベル特有の展開が気になったが、この小説の仕組みがわかってからは気にならなくなった。主人公は男の子と女の子、どちらも二十歳の二人。男の子は一目惚れで告白し、彼女と付き合うことになる…