Life and Pages

本や映画、音楽について書いています

ぼくらの仮説が世界をつくる

著者の佐渡島さんは、日本で作家のエージェントをする会社を始めた人だ。今は漫画家の作品をデジタルで直接読者に販売する仕組みを作っている。日本ではエージェント業はあまり聞いたことがない。この本の中で、村上春樹が海外で受け入れられたのは、海外ライツを日本の出版社ではなく海外のエージェントに預けたことが大きいとしている。作家と編集者の関係が濃密だっからだろうが、日本では本を売るということはすべて内容の質次第という風に思わせながら、著者が指摘するように、作品や作家によって価格が変わることなく、ページ数でだいたいの価格が決まっている。不思議な商習慣だ。
中学時代を南アフリカで過ごした経験からか、先入観なく日本や出版の現状を俯瞰していて、その視点が面白い。最近のフジテレビが視聴率を落としているのは、皆が言うようにコンテンツがダメになったという以外に、地デジになってから、8チャンネルはテレ東よりも端に言ってしまったからではないかと言っている。チャンネルをガチャガチャとザッピングしながら観るものに、テレビはなってしまったから、この指摘はいいところをついている。宇宙人の視点で地球の現象を眺めたらどうなるか考えてみるなど、子どもの視点を失わずに育ったトム・ソーヤのような人である。いや、最初のひらめきは子どもの視点だが、観察を続け、仮説を打ち立てる力がプロフェッショナルなのだ。この人の会社、コルクの今後の展開がますます愉しみだ。

ぼくらの仮説が世界をつくる

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