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殺し屋を殺せ

ビルから出てきた男は、殺し屋に命を狙われていた。無防備に人前に姿をさらしたと思った瞬間、爆発の轟音が鳴り響く。だが、男は無事だった。殺されたのは、その男を殺すために組織に雇われた殺し屋だった。
殺し屋に命を狙われたターゲットから依頼を受け、その殺し屋を狙う殺し屋の話。闇の組織は、プロの殺し屋に仕事を依頼する。それは様々な暗号を使って行われるのだが、殺し屋を殺す殺し屋は、その暗号を解読して、先にターゲットに接触し、殺し屋を迎え撃つ契約を結ぶ。殺し屋が売り込みに来るという状況はなんとも妙な感じで、ターゲットになった人間も最初はいぶかしむ。それでも自分が狙われていることを知らされ、依頼をするしか他に助かる手がないことを知る。そして先制攻撃することで、必ず成功するのだ。
組織は何度も仕事を邪魔されたことで、その謎の殺し屋を探し始める。FBIもゴーストと名付け、まだ見ぬ殺し屋を捜索するが何一つ手がかりはでてこない。
そして、初めて殺し屋殺しが失敗する。ゴーストの手がかりが判明した。殺し屋を狙う殺し屋は、金儲けのためではなく、自分が愛したもののために、自分の存在理由のために殺しを続けていた。それが危機にさらされたとき、最後の決戦を迎える。
殺し屋を狙う殺し屋というアイデアは面白かった。緊迫する暗殺現場の描写も一気に読ませる。次作が楽しみな作家だ。

殺し屋を殺せ (ハヤカワ文庫NV)

殺し屋を殺せ (ハヤカワ文庫NV)