Life and Pages

本や映画、音楽について書いています

伯爵夫人

昨年の話題図書をようやく読んだ。7月に貸出申請をしてから、ようやく年末に私の順番が回ってきた。内容はエロ小説といってしまえば、それっきりだが、耽美的な文章による日本語の芸術作品といったところか。
伯爵夫人は、欧羅巴や上海で暮らしたことの妙齢のご婦人。高級娼婦だったという自身の物語を語る時、卑猥な単語を連発する。語られる話は、嘘か誠かわからない。荒唐無稽な世界と退廃的でひょっとしたらそんなこともあるかもしれない、という線を行き来する。だが、その話が本当かどうかというのは、この本の主眼ではない。明治の文豪たちの文学的世界へのオマージュ、そして現代の文壇へのアンチテーゼといったところかもしれない。文学でしか表現できないことを描いた作品。新しいスタイルなどといつたら、作家に笑われることだろう。

伯爵夫人

伯爵夫人