Life and Pages

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ぼくは明日、昨日のきみとデートする

前半はおおげさな描写とご都合主義の設定、甘い会話などライトノベル特有の展開が気になったが、この小説の仕組みがわかってからは気にならなくなった。主人公は男の子と女の子、どちらも二十歳の二人。男の子は一目惚れで告白し、彼女と付き合うことになる。そんな簡単にうまくいくものかなあ、と思って読み進めていくと、彼女にとっては予定通りの行動だった。彼女は時間がまったく逆に進むパラレルワールドからやってきてのだ。5年に一度、40日間だけこちらの世界にいられる。5歳の時、お祭りのときに爆発から彼女を救ってくれたのは、35歳の彼。それ以来、5年にいちど会いに来ていた。今回は同じ20歳で出会える40日間。恋人として過ごすことができる40日だ。だが、彼が彼女にあった初日は、彼女が彼に会った最後の日。そして彼にとっての40日目が終わり日付が変わる時、彼女は消える。自分の世界に帰ったのだ。
ベンジャミン・バトンは、だんだんと若返って行く設定だったが、この小説は時間が逆に流れるパラレルワールドから旅行で女の子がやってくる。タイトルを思いついて作り上げた作品かもしれない。細かな齟齬を感じさせずに読ませるのは作家の力量だろう。ライトノベル好きの気持ちが少しわかった。