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持続可能な資本主義

著者の新井さんのことは、ほぼ日の糸井さんとの対談で知った。投資信託会社を立ち上げ、自分の目で見て経営者と話をして投資先を決めるというやり方で、着実な運用実績を上げている。日本の会社を応援するということも、この会社の趣旨なので、投資対象は日本企業なのだが、素晴らしい会社がたくさんあるのだと、この本や鎌倉投信のホームページで知った。
新井さんは信託銀行から外資の投資会社に転職し、そこで体を壊してしまい、自らの仕事を見なおした。素晴らしいのは、数値でははかれない「信頼」「信用」といったことを評価すると決め、そのために企業の経営者や社員と話をし、ものを作る会社であればその現場を自分の目で見て、投資先を決める。そして、とても地道なやり方でこつこつと運用をする。ビジネススクールなどで起業を学ぶと、数字でリスクを判断する。つまり数値化できない指標は使わない、使えないということだ。だから、どうにも似たようなタイプの経営者や企業ばかりが現れることになる。短期的な投資回収を目指す。大きく突っ込んで、大きなゲインをめざす。鎌倉投信はまったく逆だ。自ら足を運び、自らの判断で投資先を選ぶ。大きな覚悟をもってリスクを背負う。長期的な視点から投資を考えている。自分の頭で考える会社は強い。そして自分の頭で考えることは一番大切な人間の基本だ。

持続可能な資本主義

持続可能な資本主義