Life and Pages

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映画 LA LA LAND

とてもよかった。最後のシーンの二人の表情に、それぞれがしっかりと自分の道を歩いてきた時間と自信が現れていた。
この映画は、少女漫画的だなあと思った。主人公の主観で物語が進んでいくから、ダンスを始めても、歌を歌いだしてもそれほど不思議はない。マンガを読み慣れている日本人にとっては、登場人物の周りに花が出ても驚かないし、空を飛んだとしても、妄想なのかどうかと判定することもなく、主人公の主観に寄り添うことができる。従来の、いわゆるミュージカルは、テーマを語るために舞台が作られ、メッセージを歌にする。そしてまた、お芝居に入っていく。どこか物語を俯瞰する視点が常にある。LA LA LANDは、そこが違っている。主人公の二人の気持ちになって映画を見ていれば、大きな流れとして観ることができる。そもそも、ファンタジーだよということが冒頭の渋滞した道路で踊りだすシーンから明示されている。何があってもおかしくない。そして、カラフルな原色のドレスに身を包んだ美女四人が並んで躍っているシーン。天文台の中で宙に浮くシーンは、観客がそうあってほしいと思うシーンだった。E.T.が空を飛んだときのように。作り手が、映画という素晴らしき装置を愉しんでいるのだ。
もちろん、役者がいいし、音楽がいいから、実現したのは間違いない。エマ・ストーンの素晴らしさは言うまでもないが、切ない音楽と切ない顔の似合うライアン・ゴズリングにすっかりやられてしまった。二人の表情だけで気持ちが伝わってくる。気持ちが行き違うときの様子は、You’ve got mail.を思い出した。
一時は、CGを使ってまでリアリティにこだわっていた映画の潮流は、最近は心情あるいはファンタジーの方へ向かっているようだ。映画館を出ても、音楽がずっと頭の中で鳴っている。
ネイティブに訊くと、LA LA LANDというのは、おとぎの国や白昼夢のような世界であり、酩酊しているときのことでもあり、夢心地、LAやハリウッドのことでもあるそうだ。彼らはタイトルを聞いただけで、夢の世界とハリウッドの話だと連想するようだ。
追加: パンフレットを後から買いに行った。監督は言っている。「人生と芸術、現実と夢をどう調和させたらいいのか。ミュージカルは夢と現実の間の綱渡りを表現するのに適したジャンルだと思う」「人は人生において、自分を変えてくれて、なりたい人物になれる道筋を作ってくれる人と出会えるけれど、最終的にはその道をひとりで歩まなければならないということだ。そのことは、ものすごく美しくて、切なくて、驚くべきことだと僕は気づいたんだ。この映画ではそのことを描きたかった」
http://gaga.ne.jp/lalaland/

Ost: La La Land

Ost: La La Land