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禁忌

主人公はある日、女性誘拐容疑で逮捕され、刑事の脅しにより犯行を自供し、裁判にかけられることになる。マスコミは、有名写真家による猟奇的殺人と書きたてるが、被害者は見当たらず決定的な証拠もない。監禁されているという女性から警察へかかってきた電話が発端となり、現場とされるアトリエで写真家が逮捕された。しかし、女性の姿はないどころか、それが誰なのかさえもわかっていない。ミステリータッチの作品だが、犯人探しやトリック暴きの小説ではない。前半で語られる主人公の生い立ちと、悪とは何かといった問いかけが読後に残る。すっきりとした解釈はできない。読者がそれぞれ、読書中や読後に感じた思いをしばらく保ちつづけることがこの本の特徴かもしれない。不思議な味わいの本だ。もう一度読んだらきっとまた、違う感想を持つだろう。

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