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人形は指をさす

イギリスの新人ミステリー作家の作品。ロンドンの中央刑事裁判所、通称オールドベイリーに向かう一人の女性陪審員の描写から始まるのだが、とても視覚的な描写で素晴らしい。すぐにも映画にできそうだ。結審の日、27日間で27人の少女を惨殺、しかも焼死させるという凶悪犯罪者がなんと無罪になる。陪審員制ゆえか。悪を憎む刑事はそれが許せない。被告人をその場で殺そうとしたが、あと一歩のところで阻止される。そして四年後、事件は急速に動き出す。あの無罪となった男はその後、再犯を起こして逮捕され収監されていたが、その男の頭部が発見される。さらに殺人予告リストがマスコミに公開され、その最後に刑事の名前が。犯人は誰なのか。スケールの大きな陰謀で誰が黒幕なのか、リストに載せられた人々の関係性も最後までわからない。登場人物のキャラクターもよく描けている。日本のミステリー小説にはないダイナミックな展開を大いに堪能した。

人形は指をさす (集英社文庫)

人形は指をさす (集英社文庫)