Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

映画 わたしを離さないで

WOWOWで観た。最初に本を読んで衝撃を受け、映画が公開されたとき、まだ自分なりの映像が鮮明に脳裏に刻み込まれていたから、とても観にいけなかった。怖すぎたから。その後、日本でテレビドラマになり、期待せずに観たら素晴らしく良かった。原作の世界観がしっかりと伝えられていると思った。今回、カズオ・イシグロノーベル文学賞を取ったために、字幕付きで放映され、それを観た。これもとてもいい映画だ。それでも、本を読み、テレビドラマを観て、しばらくたって、映画を観たから、その順番だからよかったのかもしれない。
イギリスの風景と切ないBGM。自然の中で時間をかけて朽ちていきつつある住居。そして登場人物たちのとても英国的なくすんだ色のファッション。物語の舞台にこれほどふさわしい場所はない。俳優たちもとても良かった。それでも、頭の中の、小説によって創り出されたイメージの方が強い。あらためてすごい小説だったと思った。
人間とは何か。その根本的な問いがコンピュータや科学の発展によって、最近あらためて問い直されている気がする。そして、その問いを発する小説や映画の役割はわたしにとってとても重要だ。ブレードランナー2049を観て、それからこの映画を観たことで、人間とは何かを深く考えるきっかけになった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)