宮部みゆきを読んだのは初めてかもしれない。力量を感じるが、ハードボイルド好きなわたしには、形容詞句の多さがすこしつらい。途中から速度を上げて読み進めたら、気にならなくなった。一字一句読むのをやめたということだが。
普通のサラリーマンが探偵をやるはめになるシリーズの一作目ということで読んでみたのだが、編集者である主人公が職業的な調べ物癖を発揮して真相探しに突き進むという設定には無理がない。そこまでするか、という突っ込みどころもあるが、主人公の社会的立場などをうまく設定することで、ストーリーは破綻していない。むしろ、編集者とかコピーライターとか翻訳家、校閲者などは、調べ物が仕事という側面があるから、探偵家業との共通点を明示してもらったという感じだ。日本人が探偵ものが好きなのは、勉強、調べ物好きだからなのだなあと思った。
事件は二転三転していくが、日本の社会的な特徴を踏まえた展開で、本当に上手な作家だと思う。それでも個人的には、ストーリー展開にもっとダイナミックも要素がほしいと思うが、それは海外の作家に任せるべき事かもしれない。
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/12/06
- メディア: 文庫
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