Life and Pages

本や映画、音楽について書いています

ミスター・メルセデス

さすがはスティーヴン・キングという他はない。どこに連れて行かれるのだろうかと思いながら、想像をあっさりと裏切られ、視覚的な印象を強く残す。映画にしたくなるストーリーだ。大量殺人を実施し、また次の機会を狙う犯人。コンピュータやハイテクに強いとできることが広がるのだなあと納得。そして、普段は誰もが気に留めない存在の職業というのは確かにあって、そのうえ精神的な苦痛を与えることに長けていると、こんなことができてしまうのかと考えさせられる。そして犯人の、他の登場人物の生い立ちにうーんとうなる。
かつては「アメリカだからな」と思う犯罪が小説や映画になることが多かった。サイコな犯人、劇場型殺人、山の中の一軒家での殺人。だが今や、ITによって世界は似た姿になり、その知識があるかどうかで大きな格差が生まれている。そういう意味ではミステリー小説もグローバル化しているのだろうか。
それでも、主人公の元刑事はやり抜いた。一緒に戦った彼と彼女も。時代が変わっても、いつも時代の中心にいる作家である。