Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

伝え方が9割

この本がベストセラーになっているのを知っていたし、コピーライターが書いた本だということで気になっていたので、図書館で借りて読んでみたが、苦手なタイプの本だった。観察力も分析力も凄いと思う。でも、なんども同じ事を繰り返し、本題に入る前に「これからこういうことをはなしますよ」と書いてから、もう何を言いたいのかわかっていることを書く。この書き方はわたしには無理。前書きに書いてあることがすべてで、あとは口上を足し算しながら、書く。こういう冗長さ、行間のなさは本当に苦手。この本を読んで最近のテレビと同じだと思った。つまり、冒頭にこれから始まる番組のダイジェストを入れ、CMの前後で同じ映像を使い回す。一時間番組は、内容の重複とCMを除くと、35分くらいではないだろうか。それからYouTubeでも、映像の前後に字幕だけの時間を付加したものが増えた。ネットニュースなども、だらだらと書くことで必要な分数や文字数の倍は使っている。この本が発端とはいわないけれど、情報を自らの手で薄くしているところは同じ傾向だ。
この本が売れていることを考えれば、こういう伝え方がいいと言う人も多いのだろう。言いたいことが1割で、とくに必要と思えない文章が9割の本だ。