Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

2021-01-01から1年間の記事一覧

翻訳教室

翻訳家の鴻巣さんが母校の小学校で翻訳教室をしたときの話だ。英語の単語も文法もあまり知らない小学生に、英語の絵本を翻訳してもらう。しっかりとガイドしているからだけれど、翻訳とは何かを減点に戻って教えてくれる。そうなんだよ、しっかりと書かれて…

映画 9人の翻訳家 囚われたベストセラー

ダン・ブラウンの小説は世界同時発売する際に、秘密を守るためのルールーがかなり厳しかったと、日本語版の翻訳を手がけた方が書かれたものを読んだ覚えがあった。で、それを元に作られたと聞いていたので、どんな映画かと思っていたら、予想もつかない展開…

愉楽

大陸の山間にある寒村は、足がなかったり、耳が聞こえなかったり、目が見えなかったりという人しか住んでいない。みんな助け合って農作業をするが、たいした収穫は望めない。年に一度の祭りの時には皆が歌や踊り、そして特技を披露する。その村を豊かにする…

映画 用心棒

もう何度も観ているのだが、椿三十郎と混同していたところもあったので、今回はっきりとわかって良かった。本当によくできている映画だ。思ったよりも喧嘩などのシーンは少なく、テンポ良く話が進む。役者がまた凄い。黒澤映画でおなじみの顔ばかりだが、人…

人間

又吉直樹の三作目。二作目は読んでいないのだが。 三十八歳の主人公はライターなどをしながら本を出版し作家と認められるようになった。そこへ昔の友人から一通のメールがとどく。若い頃に数人で一緒に一軒家で暮らしていた時代があり、その頃の同居人の一人…

映画 羅生門

この映画を観たのは何回目だろうか。年末にWOWOWで三船敏郎特集をやっていたので、録画して観てみた。映像がきれいだ。三船が生き生きとしている。京マチ子が美しい。志村喬、千秋稔、安心して観ていられる。そして、ストーリーの謎が残る。古くならない映画…

思い出 人間は納得したい動物である

父の事を思い出した。亡くなってから20年以上過ぎている。父は石油の掘削の技師だった。若い頃、仕事中に石油の井戸を掘るドリルの刃の破片が目に入り、片目を失明した。とはいえ、見た目は全くわからず、片方の目だけで運転もしたし、仕事も日常生活も普通…

丁庄の夢

中国の寒村の物語。住民のほとんどがまもなく死にゆく運命にある。貧しい暮らしから抜け出そうと売血を勧められ、エイズに罹ってしまったのだ。最初は3ヶ月に一度だったが、現金ほしさに1ヶ月に一度になり、2週間に一度になり、もっと短期間で売血するものも…

論考 君はいつからきれいになったんだろう

去年いやその前の年かな、ラジオでやたらと「君は綺麗だ」と歌うのを聞いて、へえーと思ったことを思い出した。好きな女の子に対して僕は「運命のヒトじゃない」と言い、僕にとって君は何かと男の子は自問する。そして、確かなことはひとつ「君は綺麗だ」と…

閑話休題 2020を振り返って

今年初めてアメリカ人の友人と話す。話題は、2020年を振り返る、ということになった。コロナ禍については、「あのときこうしていれば」というHindsiteはいくつもあった。ダイヤモンドプリンセス号の時にうまく対応できていれば・・・。春節の前に警戒していれば…

テレビ テンペスト

昨年末に再放送されたドラマ「テンペスト」を10回分まとめて観た。幕末から明治にかけての琉球王朝の物語を描いたこのドラマは、2011年に放送されたものだ。首里城でロケが行われており、今は観ることのできない美しい王宮内部が映し出されている。 琉球王朝…

ワイルドサイドをほっつき歩け

イギリスに住む著者の身の回りにいるおっさんたちの観察日記。なにかと悪者にされがちなおっさんたちが、ワイルドサイドでしぶとく生きている様を優しい目で眺め、愛おしい存在として描いている。そして彼らのリアルライフを描いていくと、ブレクジットの話…