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映画 9人の翻訳家 囚われたベストセラー

ダン・ブラウンの小説は世界同時発売する際に、秘密を守るためのルールーがかなり厳しかったと、日本語版の翻訳を手がけた方が書かれたものを読んだ覚えがあった。で、それを元に作られたと聞いていたので、どんな映画かと思っていたら、予想もつかない展開に驚いた。

『デダリュス』というフランス語で書かれたミステリー小説の完結編を世界同時発売するために、9カ国語それぞれの翻訳者がフランスの田舎町にある屋敷に集められる。3ヶ月、そこで缶詰にして各国語の翻訳作業をしてもらうというのだ。セキュリティのために、鍵をかけられ、インターネットに接続できるものをすべて取り上げられ、ひたすら翻訳をしろという(これは調べ物を考慮していないんだね)。そんなセキュアな場所のはずなのに、原稿が持ち出され、ネットに流出させたくなければ身代金を払えと迫られる。いったい誰が持ち出したのだろう。

映画の中で、翻訳者は無名で稼ぎの少ない仕事だという台詞があるが、無名に関しては、日本は違うと思う。全員というわけではないが、翻訳者の名前で買われる本もあるからね。それと、翻訳者同士がフランス語しかわからない敵(?)を前に、スペイン語と中国語で内緒話をするところは面白かった。外国語を学ぶことの醍醐味の一つだからね。

映画はまあまあ面白かった。映画音楽を、一度一緒に仕事をしたことのある三宅純さんが手がけていたのはうれしい驚きだった。