Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

翻訳教室

翻訳家の鴻巣さんが母校の小学校で翻訳教室をしたときの話だ。英語の単語も文法もあまり知らない小学生に、英語の絵本を翻訳してもらう。しっかりとガイドしているからだけれど、翻訳とは何かを減点に戻って教えてくれる。そうなんだよ、しっかりと書かれているけれど、学校の英語のテストは、どれだけ理解しているかを教師が知るためのものであって、翻訳とはほど遠いことを要求しているのだ。なのに、中学、高校、大学で身につけてしまった英文解釈の延長あるいはちょっとしたバリエーションが翻訳だと思ってしまう。自分ではそんなつもりはなかったけれど、やはり英文解釈の癖がついているよなと思う。特殊な構文になるほど、得意げに、暗記した和訳を書いてしまっている。そうじゃない。作家は何を伝えたいのか、そこを考えて、それを再現することが翻訳であるはずだ。その基本のきを再認識させてくれた。

翻訳教室 ――はじめの一歩 (ちくま文庫)

翻訳教室 ――はじめの一歩 (ちくま文庫)