Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

来て! 見て! 感じて!

脚本家の鎌田敏夫さんが、ご自分が書いた脚本の台詞などを見出しに、その背景や思い出を語っている。目次に並ぶ各編の題目は、そのまま台詞選集という体裁になっているのだが、すでにドラマの景色を漂わせている。どれも強い言葉ではないのだが、たたずまいがある。広告のキャッチフレーズだけを載せた辞典のような本があるのだが、それは、炭酸の抜けたコーラの瓶の寄せ集めみたいになっている。完璧に作られた広告から他の要素を引き算しているからだ。この本の目次は、かつてドラマや芝居の中で発せられた言葉だとしても、まだ、素材としての新鮮さを保っている。広告の言葉のように、消費し尽くされていないからだろう。平易な言葉で状況を的確に伝える技術に、唸った。

来て!見て!感じて!

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