Life and Pages

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20歳の自分に受けさせたい文章講義

文章読本はたくさん出版されていて、わたしもすでに何冊も読んでいるだが、著者名を見て気になるとついつい買ってしまう。今回は、ネパールについての文章を書いていた古賀さんの本だ。嫌われる勇気というベストセラーも書かれている。

いきなり引き込まれたのは「頭の中のぐるぐるを伝わる言葉に翻訳したものが文章だ」という一節だ。そもそも文章は話すようには書けないし、書くのではなく自分の想いを翻訳するのだ、という言い方はよくわかる。広告のコピーを書いているときは、まさにこの通りだ。文章構成はまず図解してみるといい、というのも同じ。そうなんだ。広告のコピーを書くのと同じだったんだ。的確な表現の言葉をたぐり寄せながらふむふむと読み進める。

もう一つ、なるほどと頷いたのが、「取材で100聞いたとしても、自分の理解が60で止まっていたなら、原稿には60までのことしか書けない」という一節。わたしもIT系のテーマを取材して原稿を書くことがある。自分の理解と、読者に伝えるべきことをたとえば、80と設定して書くことがある。そのとき、クライアントであるITのプロたちは、残りの20を強引に押し込もうと、専門用語と、ときには社内用語で文章を修正してくる。修正することは慣れているし、それも仕事の範疇であるからまったく問題ないのだけれど、80の世界を表現するために書いた文章を90とか95の世界にするならば、そのサイズで世界観を書き直さなければおかしいのだ。なのに、ここに追加しろと、一部だけ肥大化させる指示が来る。書き直さなければダメだと言っても伝わらず、世界観を接ぎ木した歪な文章ができあがる。やはりこれではだめだよね。深く反省。闘おう(できるだけ)。

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

  • 作者:古賀 史健
  • 発売日: 2012/01/26
  • メディア: 新書