Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

プロデュースの基本

いろんな業界にプロデューサーを名乗る人がいるが、音楽プロデューサーは音楽を愛している人、映画プロデューサーは映画を愛している人、というように、作品作りが本当に好きな人でないとプロデューサーにはなれないのだと思う。そして作家視点とファンの視点が保てる人なのだと思う。文芸の世界では、編集者の仕事が他の業界でプロデューサーと言われている人たちの職種と重なるのだろう。それでも、出版プロデューサーという人も近頃存在する。「出版」ということに長けた人なのだろう。

それとプロデューサーに共通するのは、人を信頼できる、ということだと思う。その人を好きになれるということでもある。そして、組織の人間でありながら、一人の人間として全面的に関わることができる、ということが必要なのだと思う。

この本の作者は、いろんなミュージシャンとともにたくさんの、そしてさまざまな日本の音楽を生み出している人だ。なるほどと思いながら、すいすい読んでしまい、どれが一番大切なことかなと、すぐに再読した。名言至言もあるけれど、なによりも、プロデューサーってどんな人なのかと考えることになった。

肩書きがプロデューサーではなくても、様々な仕事にプロデューサー的要素が求められるし、営業の仕事をしている人でもプロデューサーという呼び方がふさわしい人がいる。人と人をつなげて、自分も深くコミットできる人じゃないとプロデューサーにはなれない。予算管理もプロデューサーの担当だと思っていたけれど、この本を読むとそうでもないらしい。財布を握りながらクリエイティブを作るのは難しいというのはとても共感する。作り出すことが好きな人がプロデューサーなのだと、遠回りして、ようやく当たり前のことに気がつく。だってproducerなんだものな。

プロデュースの基本 (インターナショナル新書)

プロデュースの基本 (インターナショナル新書)

  • 作者:木崎 賢治
  • 発売日: 2020/12/07
  • メディア: 新書