Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

業界破壊企業

サブタイトルは「第二のGAFAを狙う革新者たち」。業界にイノベーションを起こした、あるいは起こしつつある新興企業を紹介している。プラットフォームによるイノベーション、ビジネスモデルによるイノベーション、テクノロジーによるイノベーション、3つの切り口で分類している。私はこの本で紹介されているDuolingoというアプリでフランス語の勉強をしているのだが、仕組みが面白い。ユーザーは英語で書かれた文章をフランス語にしたり、フランス語で書かれた文章を英語にしたりしながら学習する。一見普通の語学学習アプリなのだが、実はこれ、翻訳会社が仕事しとして引き受けた文章をユーザーが翻訳しているのだという。もちろん、初学者の翻訳を信用するのは危険だが、世界中のユーザーの答えを処理して最大公約数を正答としている。さらに、誤答と判定された際は、それは違うとクレームする機能もある。インターネットを介して世界中から集めた翻訳データをAIの機械学習の手法で解析する。凄いと思う。これは無料で使えるのだが、有料会員になれば広告もなくなり、別のコンテンツも楽しめるそうだ。

この本は新進気鋭の企業の紹介だけにとどまらず、「ハッピーイノベーション」を起こそうというところがユニークだ。どれだけお金を稼げるか、という視点ではなく、自分を含めて人が幸せになれるビジネスを小さく立ち上げて育てていこうという考えだ。それを実践するために、著者は私塾やいくつかの教育機関で教えている。いくつもの事業を立ち上げ、失敗もし、それでも起業し続けた著者が幸せを起点にした起業をすすめてくれる。 

業界破壊企業 第二のGAFAを狙う革新者たち (光文社新書)