Life and Pages

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燃えるスカートの少女

不思議な物語の短編集。残酷なおとぎ話のような、夢で見たストーリーのような、アフォリズムのような。ことの顛末とともに、それにともなう感情を描こうとしているようだ。

二人の娘を持つ父親はある日、お腹に大きな穴があく。サーカーボールが入るほどの。それでも普通に生活ができる。本来、そこにあった内臓は脇に追いやられているけど機能は問題ないらしい。その妻は、43歳。妊娠して、3人目の子供が生まれると思いきや、生まれてきたのは、去年亡くなった祖母あちゃんだった。そして、家に帰って家族みんなで食事をしていると、母が冷蔵庫の奥からマジパンを出してくる。祖母の葬式の時のものだという。みんなに切ってあげると、美味しくてみんな、もっと食べたいという。祖母も私の葬式に出た者なのだから、私に長大よと言うが、母は自分の分はとっておくからあげないという。

そんな不思議な話が16篇。短編集はこのくらい自由だと面白い。

燃えるスカートの少女 (角川文庫)

燃えるスカートの少女 (角川文庫)