Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

歌謡曲が聴こえる

1960年代は歌謡曲の黄金時代の一つではないかと想像する。その時期に、まず楽譜を眺め、気になった曲をレコード店で探し、時には同じ曲を違う歌手が歌うカバーを聴き比べてみる。その歌の中にある本質的なもの、ある歌手の特徴的なテクニックなどを堪能して、言葉で理解していく。それは、作家の姿勢なのだろうし、また探偵のようでもある。片岡義男という人は、作家になる前から作家としての日々を送っていたことを改めて感じ取る。会社員をぷいっと辞めて、ライター業や翻訳業をやっているうちにいつの間にか作家になったわけではないのだ。とても大事なことに気付いたように思う。

歌謡曲が聴こえる (新潮新書 596)

歌謡曲が聴こえる (新潮新書 596)