Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

日本語と英語

2012年に発売された本だ。そのときに読んだ。今回、ふち本棚の中にあるのを目にとめ、再読した。日本語と英語の比較から、両者の考え方の違い、つまり世界観の違いを浮き彫りにしている。そして、ある一説でページをめくる指が止まった。

「Youという呼びかけのひと言は、きわめてぜんたい的だ。youと呼ばれたその人のすべてがyouなのだ。youというひと言のなかに、そう呼ばれたその人のすべてがある。その人はyouと呼ばれることによって、すべてが丸出しのような状態になる。

 日本語の場合は呼びかけかたにいろいろある。そのときその場でその相手から必要とされる自分、という部分的な自分が、いろんな呼びかけかたのひとつひとつをとおして、呼びかけられる。それ以外の自分は隠れている。保護されている。自分は他者に対してほとんど常に、部分的な自分なのだ。Iについてもまったく同じだ。Iがそうだから、youもそうなる。その時その場でその相手に必要とされる部分的な自分など、Iとyouにはあり得ない」103Pから104P

言語の違いは、世の中の見方の違いであり、それに適した自分を作り込んでいく日本人と、Iとyouとの関係を積極的に広げていく英語を母語とする人たち。この違いをしっかりと心に留めておかないと、ニュースを見るときも翻訳をするときにも、大切なものが見えなくなる。

日本語と英語―その違いを楽しむ

日本語と英語―その違いを楽しむ