Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

嵐のピクニック

本谷有希子さんの本は初めて読んだ。演劇の人でもあると知って、なるほどと思ったところがあった。とても視覚的な表現をするところと、ある出来事が起こってからは加速するような展開で一気に過激に暴走するようにクライマックスに向かうところだ。

この本は短編集で、13篇が収められている。さまざまなタイプの話があるのだが、いくつかの話は、女性の主人公がある日、ふと気がつく。私は何でこんなことをしているのだろうとか、なんでこんな目になっているのだろうとか。そこで我に返り、何か事件を起こしてしまうのだ。介護していた義母をグランドピアノに閉じ込めたり、無理解な旦那に愛想を尽かしてボディビルダーになったり、河原に決闘のために呼び出したり。どれもテンポよく読めて楽しい。

普通の景色が角を曲がると、まったく別の展開になる。とても面白かった。

嵐のピクニック (講談社文庫)

嵐のピクニック (講談社文庫)