毎年一冊出る、糸井重里氏のさまざまな文章を集めた本。年に一度の果実の収穫のようで、とても楽しみにしている。この本もいろいろとふーむと思わせ、考えさせられてしまった。引用していくときりがないので、短めのをひとつだけ。
「外れたときにもがっかりしなくていいようにと、
ネガティブからスタートするやり方ってのもあるけれどさ、
『受け取るたのしみの総量』が少ないんじゃないかな。」17ページ
うーん。これ、いつもやってるわ、私。なんだかいつもかってに期待してしまっているときに、思いとか願いとかと違った結果になったとき、がっかりしてしまう。そうしたことが続いたあとだと、できるだけ期待しないようにしようと思ってしまう。そうなのだよね、それで結果うまくいったときは、あれっ、という感じで、大喜びはできなくなっている。感情を抑える練習をしていたのだから。楽しみの総量とは、とてもよくわかる言い方だ。言い方、たとえ方のうまさは、糸井さんは本当に天才的なのだけれど、そんなときにも図に乗らないのもすごい。
「ことばにできたような気がするときというのは、
そういう照明の下で、そう見えた写真のようなもので、
そう表現されたもののほんとの大きさ豊かさのほうが、
ことばで言えてることの何百倍もあるのだ。」12ページ
二つ目の引用になったけど、こういう謙虚さは大切だと思う。この本も、時々読み返す本の棚に入れておこう。