Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

かならず先に好きになるどうぶつ。

毎年一冊出る、糸井重里氏のさまざまな文章を集めた本。年に一度の果実の収穫のようで、とても楽しみにしている。この本もいろいろとふーむと思わせ、考えさせられてしまった。引用していくときりがないので、短めのをひとつだけ。

「外れたときにもがっかりしなくていいようにと、

 ネガティブからスタートするやり方ってのもあるけれどさ、

 『受け取るたのしみの総量』が少ないんじゃないかな。」17ページ

うーん。これ、いつもやってるわ、私。なんだかいつもかってに期待してしまっているときに、思いとか願いとかと違った結果になったとき、がっかりしてしまう。そうしたことが続いたあとだと、できるだけ期待しないようにしようと思ってしまう。そうなのだよね、それで結果うまくいったときは、あれっ、という感じで、大喜びはできなくなっている。感情を抑える練習をしていたのだから。楽しみの総量とは、とてもよくわかる言い方だ。言い方、たとえ方のうまさは、糸井さんは本当に天才的なのだけれど、そんなときにも図に乗らないのもすごい。

「ことばにできたような気がするときというのは、

 そういう照明の下で、そう見えた写真のようなもので、

 そう表現されたもののほんとの大きさ豊かさのほうが、

 ことばで言えてることの何百倍もあるのだ。」12ページ

二つ目の引用になったけど、こういう謙虚さは大切だと思う。この本も、時々読み返す本の棚に入れておこう。

かならず先に好きになるどうぶつ。

かならず先に好きになるどうぶつ。

  • 作者:糸井重里
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 新書