Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

2015-01-01から1年間の記事一覧

歌謡曲が聴こえる

1960年代は歌謡曲の黄金時代の一つではないかと想像する。その時期に、まず楽譜を眺め、気になった曲をレコード店で探し、時には同じ曲を違う歌手が歌うカバーを聴き比べてみる。その歌の中にある本質的なもの、ある歌手の特徴的なテクニックなどを堪能して…

言語小説集

某大学の英文科の学生は、英語が好きあるいは得意だけど英米文学や文化に興味がさほどないと、言語学の道に進み、修辞論や文法の研究をするそうである。で、この短編集は、言葉の言い間違いや音や方言、時代性などにとことんこだわって研究して書かれている…

殺しのリスト

短編集かと思いきや、短編としても成立しながら一冊の長編になっているという構成だ。上手な作家であることは言うまでもないが、プロのヒットマンが星占いや手相を気にして、仕事にも支障をきたし、女性に対する情にも溺れかける。人間くさいのだ。殺し屋業…

キッチン

初めて読んだ。とても良かった。言葉遣いが好きだなあ。日頃、会話するときのやり取りを思い出させる。そして、家の中のキッチン、台所は、思いを巡らせる場所としてとても有用なのだと知った。正解だなあ。命をつなぐ食事を作るところ。それはまるで祭礼の…

飛行士たちの話

切なくて不思議な、飛行士たちの物語が胸に小さな波を立てる。兵士の中でも、パイロットはほぼ全員が死ぬ運命にあったと言ってもいいのではないだろうか。生き残ったのは、ほんの一握りの幸運を得た者だけだろう。それ故に、死は他人ごとではない。スピーチ…

来て! 見て! 感じて!

脚本家の鎌田敏夫さんが、ご自分が書いた脚本の台詞などを見出しに、その背景や思い出を語っている。目次に並ぶ各編の題目は、そのまま台詞選集という体裁になっているのだが、すでにドラマの景色を漂わせている。どれも強い言葉ではないのだが、たたずまい…

映画 誘拐の掟

5月に公開になる前に、師匠から試写会の券を頂戴して観に行ってきた。原作はローレンス・ブロックの「獣たちの墓」。映画の世界に没入して、あっという間に時間が経った。面白かった。ニューヨークが舞台なのだが、あのきらびやかな最先端都市のNYでなく、様…