クラプトンの半生を写真やDVDやコンサート映像やTV番組など少ない素材をなんとか繋げて、激動の人生を綴った映画だ。日本にはあまり報じられていない、家にこもってドラッグ浸けの生活をしていた4年の日々や、その後の泥酔しながらコンサートをしては失言を繰り返す時代も描かれていた。そして、最愛の息子の死とそこからアンプラングドを経て立ち直るまでの日々もについても描かれていた。よく生き残ったなあと思う。
母親の愛を知らず、その愛を必死で求めたが、しだいに他人を信じられなくなり、ドラッグと酒に溺れていく。一番上手いミュージシャンを集めて結成した理想のバンド、クリームはアグレッシブだっただけで、デレクアンドドミノスの方が良かったと言う。ジョージの妻に横恋慕して、一緒になったパティとは、自分のものになったとたんに、二人の仲はうまくいかなくなる。理想を描いていた自分のイメージが現実をはるかに超越したものになっているのだろうか。
しかし音楽に対する愛情は本物だった。常に新しい音楽を求めて進化していくクラプトン。その音楽の才能に嫉妬した神様が、彼の運命にいたずらをしたのかもしれない。
ミック・ジャガーにジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、キース・リチャーズ、B.B.キングなど懐かしいスターの顔ぶれをみるだけでも楽しい映画だった。