Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

CD スナックJUJU〜夜のRequest

面白い企画だなと思ってCDを聴いた。JUJUがいろんな歌手の歌をカバーしたアルバムだ。

まちぶせ、桃色吐息、DESIREを聞いて、あーそうかと思った。これらの歌謡曲はファンタジー度が高いのだ。石川ひとみ高橋真梨子中森明菜、彼女たちが歌った世界は純度の高いファンタジーだったからこそ、その一曲に耳を傾け、勝手な思いを描けたのだ。JUJUは歌が上手いが、彼女の歌は現実からは完全に浮き上がらない。だからこそ、この企画なのだ。スナックの歌の上手いママが、常連客やふらりと立ち寄った訳ありの酔客のために歌う歌なのだ。耳に心地よいが、ファンタジーの世界は立ち上がらない。それでいいのだと思う。テレビの中の歌手に対しては妄想を描くしかないが、スナックのママに対してはほんのり欲望を見いだせるからね。このアルバムを聴いて、カバーされた歌を歌った歌手の力量を再確認し、JUJUという歌手の面白さも感じた。なかなかの発見があった。

日本人のための日本語文法入門

翻訳の先生に教えてもらった本だ。日本語の文法を説明するのに、アスペクトという用語が使われている本は始めて読んだ。しかし、それは外国人に日本語の文法を教える際には普通に使われる用語であり、基本項目であるらしい。日本人が学校で学ぶ国語と、外国人が学ぶ日本語は指導法が違うというのは理解できる。そもそも、テンスとかアスペクトとかを国語の時間に聞くことはなかったが、そうしたことを教えていてくれれば、英語をもっと理解しやすくなったのではないだろうか。たぶんいちばんいいのは、文法については英語と日本語を比較しながら学ぶことだろう。文法がしっかりと身につくように思う。読んで良かった。

入門 ビットコインとブロックチェーン

勉強のために読んだのでメモ。
ビットコインは管理者がいない。利用者が直接ブロックチェーンに送信することによって、取引がなされている。
ビットコインは、2009年からほぼ10分ごとに発行されていて、およそ4年ごとに新規発行量が半減する。合計2100万ビットコインを上限とすることが決まっていて、それは2140年頃で、それ以上は増えない。
ビットコインの関係者
(1)コア開発者
(2)取引所
(3)マイナー
ビットコインの弱点は処理が遅いこと
ブロックチェーンは「悪いことしたら損をするため、不正をしない」

東京ラブストーリー

最近、このドラマの再放送があり、久しぶりに観た。織田裕二鈴木保奈美が出演する新ドラマがもうすぐ始まるから、ということらしい。1991年のドラマなのだが、当時テレビ放送があったときはリアルタイムで観ていなかった。後から、ビデオを借りてきて観た覚えがある。で、再放送を観ていて思ったのは、以前はよく理解できなかった赤名リカが一番愛おしいなあということだった。カンチも関口も自分のことしか考えていないのに、リカは一生懸命に考えている。彼女の表現方法がわかりにくいから、カンチには伝わらなかったのだと思っていたけれど、いや、わたしがオッサンになったからだろうけれど、リカの表現は、思いの裏っ返しだとしても、とてもわかりやすいではないか! と感じたのだ。
で、原作のマンガをはじめて読んでみた。テレビとはまったく違っていて、カンチも関口も三上も生い立ちも含めてよく理解できる。むしろリカは三人のドラマのジョーカーとして位置づけられていて、感情移入しにくい。テレビとはまったく別物だった。このマンガを読んで、あのテレビの脚本を書いた人はすごいなあと感心した。テレビは鈴木保奈美とその仲間たちのドラマだったが、原作はカンチとさとみの物語だった。
マンガの中に「リカは東京のようだ」という台詞がある。地方から上京してきた若者にとって、東京という街はきらびやかで、何が起こるかわからなくて、つい無理してしまうような場所だと勘違いしてしまうのは、わたしも地方出身なのでよくわかる。そうなると、タイトルは東京という場所ならではの恋物語という意味があったのだろう。地元ではみたことのないような、美人で奔放な女の子が眼の前にいる。同じ年頃なのだし、そんなに自分とは違うはずはないのに、東京という場所なのだから、そういう女の子もいるに違いないと決め込んでしまう。そこから気持ちがずれてしまい、眼の前の相手の本質を見失ってしまう。今の20代くらいなら、そんな幻想を抱くことはないのかもしれない。でも、1990年頃は、バブルもあったし、東京はそんな場所だった。あの時代の東京に出てきた上京物語としてはみごとに成立している。原作は登場人物たちの想いを書き込んでいて、テレビドラマは迷いと時代のエネルギーを書き込んでいて、どちらも時代を捉まえている。

東京ラブストーリー 上 (文春文庫 さ 25-5)

東京ラブストーリー 上 (文春文庫 さ 25-5)

嫌われる勇気

話題の本を読んでみた。アドラー心理学の紹介を対話形式で展開していく。最初は、聞き手を話したい内容を説明するために、都合良く設定しているなあ、と思っていたが、読み進むにつれて、それはあまり気にならなくなってきた。そもそも、ソクラテスプラトンの対話になぞらえて、構成しているのだとわかったからだ。
アドラーの名は、大学生の頃から知識として知ってはいたが、それ以上のものではなかった。今回読んでみて、よくわかった気がする。自分自身がいつも、人間関係を縦の関係としてしか考えられない人が多いよなあと感じていたし、自分はそうしたくないと思っていたので、とても共感できた。ただ、社会に貢献していると実感することはなかなか難しい。どこかの議員さんみたいに生産性が高いとか低いとかいうつもりはないが、「社会」というくくり方が難しい。社会貢献がビジネスの世界でも流行っている今となっては特に。
表紙のサブタイトルには自己啓発の源流と書いてあるが、世間で言う自己啓発とは反対に近いのではないだろうか。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

罪人のカルマ

ミステリー好きの間では話題になっていた作家で、この本はシリーズの6作目なのだが、はじめてこの作家の作品を読んだ。本編が650ページ以上もあるのにまさにページターナーというべき本で、先が気になって、どんどん読みたくなる。40年前の事件と現在の事件との話が並行して進む。過去のストーリーのパートが充実していて、現在のストーリーはちょっと弱い印象があるが、過去のパートで明らかにされることが、シリーズ6作を続けて読んできた読者には大いなる謎解き、カタルシスになるということらしい。
それでも、この本だけを読んでも充分に面白かったが、せめて前作は読もうよ、と言われていて、近々読むことにしたい。
過去パートは1970年代、女性警官がアメリカの警察で(正確に言えばアトランタ警察で)どのように扱われていたか、という記述がこの本の特徴の一つでもある。たかだか40年前、女性は本当に不当な扱いを受けていた。そして今は、少しはましになったのか? 一方で、日本はどうだろう。40年前から何も変わらずに、根拠のない差別が続いているのではないだろうか。
現在と過去の二つの時間軸で物語が進んでいく小説は多くなってきたし、最後の最後にどんでん返しがあるのもお決まりのパターンではあるけれど、それがわかっていても、本当に面白かった。残虐なシーンが多いのもいまどきのミステリーなのかも。

罪人のカルマ (ハーパーBOOKS)

罪人のカルマ (ハーパーBOOKS)

映画 プーと大人になった僕

「仕事があるから戻らなきゃ」「それは風船よりも大切?」そんな会話を予告編で観て、とにかくこの映画を観なきゃ!と思って観にいった。悪くない。ぬいぐるみのプーとユアン・マクレガーのやりとりはストーリーを展開させていく上で無理なく観られた。この辺は凄いなあ。さすがはディズニー映画。ジーンとくるシーンもあった。号泣はしないけれど、じーんと切なくなった。
で、観終わった後、もう一度考えてみた。なんでこの映画を観たかっんだろう?癒やしとかいうのは好きじゃないけど、自分自身を認めてもらいたい気持ちがどこかにあったのだろうか。そうかもしれない。そのことは認めてしまおう。でもそれだけか。以前エジンバラで宿泊していたホテルの前にあった劇場で、美女と野獣のミュージカルを観たのだけれど、そのときも、なんだかじーんとしたのを覚えている。感動!とかいう大きな心の変化ではなく、そよ風が吹きわたったようだった。そのことを潜在意識くんが覚えていて、そんなそよ風に出会いたくなっのかもしれない。
もう一つ、いま思いついたのは、ユアン・マクレガーの切ない表情だ。ライアン・ゴズリングの切ない顔も大好きなのだが、俳優さんの切ない顔が好きなのかもしれない。
https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html