ミステリー好きの間では話題になっていた作家で、この本はシリーズの6作目なのだが、はじめてこの作家の作品を読んだ。本編が650ページ以上もあるのにまさにページターナーというべき本で、先が気になって、どんどん読みたくなる。40年前の事件と現在の事件との話が並行して進む。過去のストーリーのパートが充実していて、現在のストーリーはちょっと弱い印象があるが、過去のパートで明らかにされることが、シリーズ6作を続けて読んできた読者には大いなる謎解き、カタルシスになるということらしい。
それでも、この本だけを読んでも充分に面白かったが、せめて前作は読もうよ、と言われていて、近々読むことにしたい。
過去パートは1970年代、女性警官がアメリカの警察で(正確に言えばアトランタ警察で)どのように扱われていたか、という記述がこの本の特徴の一つでもある。たかだか40年前、女性は本当に不当な扱いを受けていた。そして今は、少しはましになったのか? 一方で、日本はどうだろう。40年前から何も変わらずに、根拠のない差別が続いているのではないだろうか。
現在と過去の二つの時間軸で物語が進んでいく小説は多くなってきたし、最後の最後にどんでん返しがあるのもお決まりのパターンではあるけれど、それがわかっていても、本当に面白かった。残虐なシーンが多いのもいまどきのミステリーなのかも。
- 作者: カリンスローター,田辺千幸
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日: 2018/06/16
- メディア: 文庫
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