Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

存在の耐えられない愛おしさ

タイトルを読むと、あの本から来ているのだとわかるが、読んでみると、なるほどと思うタイトルでもある。今までにないタイプのエッセイストだ。本屋に行ったら、ジェーン・スー、糸井重里、シソンヌじろう、森恒二さんが帯を書いている本があって、それで手に取った。

エッセイは視点だ。そして、それを言語化できる文章力だ。自分と同じようなご近所や世界に住んでいるんじゃないかと思って読み出すが、この著者とは見ている世界、体験している世界がこんなにも違うのかとびっくりさせられる。そしてその書き方になるほどと唸らせられる。この著者は(私からしてみればとんでもないほどの)いろいろと大変な目に遭いながら、とても客観的に自分の身に起こった出来事を書き進める。言葉遣いや形容詞だったり、比喩だったり、おやじギャグだったり、筆の滑りだったりに、独特の癖がでる。それが心地よい。

新しい書き手はいつも大歓迎だ。次作も楽しみだ。