Life and Pages

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おいぼれハムレット

題名の通り、あのお話の頃を過ぎて、老いさらばえたハムレットの話、後日譚風なお話というから、こんなことをそもそも書ける人がいるのか、てなことを思いまするが、いややはり、橋本治の仕業でありました。と、いつのまにかこっちまで落語風になってしまうのも、これは、橋本治がひとりこつこつと打ち立てようとしている、落語世界文学全集の第一巻だからでした。換骨奪胎には違いないけれど、ハムレットだけではなく、シェイクスピアの世界観を自分なりにしっかりと掴んでいて、落語の構造も言葉も知っているからこそ、できる芸。ハムレットという名がずっと受け継がれているという西欧王族的監修を生かして、先代、先々代が1箇所に集まり、しかも年齢のせいでぼけているから、どのハムレットのことを射しているのかわからず話が面倒くさくなる。そんなところに落語のネタになりそうなものを感じたのかもしれないねぇ。解説も後書きも、大サービスで本当にこの作家は大好きです。

 

おいぼれハムレット (落語世界文学全集)

おいぼれハムレット (落語世界文学全集)