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ワシントンハイツの旋風

戦後、東京のど真ん中、代々木に広大なアメリカ空軍兵とその家族のための住宅地区が作られた。そこはワシントンハイツと呼ばれ、今の代々木公園からNHKのあたりまでの広大な区画だ。その歴史を知りたくて、この本を借りたのだがその目論みは外れた。戦後の時代を生きた青年を主人公にした小説だった。

昭和二十四年、高知県に生まれた一元謙吾は、中学二年生の時に母親と妹を追いかけるように東京に出て行く。貧しい生活を打開しようと東京に出てきたので、新聞販売店に住み込んで新聞配達をしながら学校に通うことになるのだが、好奇心旺盛の謙吾は、配達エリアの一つだった、ワシントンハイツの担当を希望する。英語を学ぼうと思ったからだ。

ネイティブなみの発音で英語を習得した謙吾は、高校卒業後は縁あって旅行会社に入ることになる。折しも高度成長期であり、大阪万博開催の時期でもあって、謙吾は才覚を発揮して活躍する。女性にもてる男で、どういうわけか常に複数の女性と付き合っている。そして、アメリカ出張の際に、カジノに会社の金をつぎ込み・・・。

小説としてはまあまあ。ワシントンハイツのことを知るには別の本を探す必要がありそうだ。