Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

映画 湯を沸かすほどの熱い愛

とても面白かった。宮沢りえがよかった。杉咲花もよかった。日本アカデミー賞にふさわしい。最近、邦画が多いがほとんどがマンガが原作で、それだとマンガと同じだね、という確認のために観にいくことになりかねないが、こうした作品はとても意味があると思う。全編通して、現実とファンタジーが共存しているのだが、伊丹十三の映画のようで、「そうあってほしい」「そうだったらいいな」と思わせてくれる。
死を描くことは、生きることを考えさせられる。この映画はよくできたお話だ、という穿った見方もできるが、人生という日常には、時として、よくできたお話のようなことがあるから、この映画は心に響いた。そしてまたこれは、母と娘の物語が何重にも輻輳する。そして血のつながりとは関係なく、母性というか、母親性とでもいうべきものは、信じていいものの一つなのだと感じた。いくつかの場面で、意外な展開があって本当にうれしかった。こういう映画はいい。邦画もしっかりチェックしなくちゃな。
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