Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

短編を七つ、書いた順

どの話にも共通しているのが、自分の脚で立って、自分の力で生きている登場人物だ。当たり前のことだろうか。自力で生きているから、自分を客観的に見ることができる。だから、相手のこともリスペクトすることができる。とりあえずの会話をしない。些細な事から始まった話題も、抽象度を高めて言語化することができる。ハードボイルド風な会話になる理由はそこにある。抽象度を楽しむのは、知的なゲームになる。だから、小説のテーマになりうる。この本の中の一節にそうした会話が出てくる。『抽象的な概念論とは、具象と抽象とのあいだの、自由な往復のことだから。ほとんどの人は、自分の身のまわりにある現実にべったりと貼りついて生きている』片岡義男の創作の鍵は、この一言に集約されていると言っていい。

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