Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

雨は五分後にやんで

同人誌というわりにはしっかりとしたハードカバーの短編集で19人が作品を寄せている。小説からエッセイ、漫画とかいろいろだ。小説も歴史を題材にしたものからSFまで、いろんなタイプがあって、共通しているのは「五分」という言葉や要素をどこかにいれてあることだ。

編者でもある浅生鴨さんをはじめ、ネパールを旅した面々が寄稿している。なんだか不思議な本だが、楽しかった。私は時々文芸誌を買うので、いろんな作家の作品がこうして集まっている本は好きだ。新しい作家に出会えるし。今回はほぼ作品を読んだことのない人たちばかりなのでますます面白かった。同人誌の楽しさってこういうことなんだろう。

なかでも、女の人がある日突然、リベットになる話は面白かった。不条理というか、SF的というか、最初の困難な設定を読者に上手に飲み込ませれば、後はディテールを楽しめる。大ぐくりにしてしまえば、村上春樹もこうした構成だし、小説の世界ではよくある。おかしなことをするりと納得させるところが、作家の技量なんだろうと思う。