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ぼくは翻訳についてこう考えています

柴田元幸氏が翻訳について書いたこと、語ったことを100点抜粋した本。アフォリズム集のようでもある。なるほどとうなずき、そうすればいいのかとメモし、深いなあとかみしめる。この本もまた、時々読み返す必要のある本だ。

論考の中に、間違っている英語を訳すには、英語と同じくらい間違った翻訳をすることがいい、と言っている。目指すところは理解できるが、どうしても翻訳が間違っているようにしか読者には思えないだろうから、難しいところだ。私も以前、(生意気にも)ろくでもない商品を広告するときは、ろくでもないことが伝わるようにすべきではないかと考えていた。詐欺まがい商品の販売活動に加担するようで嫌だったのだ。でも、そうした商品を売りたい会社はなんでも値切る傾向にあるため、話題になるほどの広告出稿はできず、私の心配は杞憂に終わったのだ。

また、別の論考では16歳の少年のしゃべり方を訳すなら、うまい言い方にはならないはずだとしている。英語を読むのに苦労している身にとっては、なんとも文学的な悩みをされていて、うらやましい。

ぼくは翻訳についてこう考えています -柴田元幸の意見100-

ぼくは翻訳についてこう考えています -柴田元幸の意見100-