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カササギ殺人事件

昨年、さまざまな賞を獲ったミステリー小説だ。あまりに人気だったため、古書に出るのもすぐだろうと思って買わずにいた。その代わり、早々と図書館に貸し出しリクエストを出していたのだが、根強い人気が続いているらしく、上巻が届いたのがつい最近だった。実は、下巻の順番は昨年の秋に回ってきたのだが、下巻から読むわけにはいかず、パスしておいた。それで、とりあえず上巻を読んで面白かったら、下巻を買おうと思って読み始めた。

上巻は懐かしい感じがするなあと思いながら、本格謎解きミステリーが進展する。1950年代の英国を舞台にしており、スマホにもAIにも邪魔されず、トリックやアリバイといった要素が重要な役割を占める。そして最後の頁に探偵は犯人が分かった、と言って終わりになる。小説の半分が終わったところで、探偵の謎解きが始まるのか!? 下巻まるまる探偵の説明なのか!? これでは、下巻を読まずにいられないではないか。すぐに下巻を買って、読み続ける。

予想に反して、小説の続きが始まらないのだ。なんだこれはと思いながら、とにかく急いで読み進む。そしてこの小説の世界にすっかり取り込まれ、最後まで一気に読んだ。たしかに、凄い小説だ。たいした作家だ。賞を獲ったのも納得。昨年中に上巻から買って読んでもよかった。

本格謎解きミステリーというのは、もう新機軸はないのかと思っていたのだが、こんな展開の仕方があったのだ。ミステリーの世界はまだまだ広くて奥深い。

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

 

 

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)