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西太后秘録 上下

西太后については、側室から清王朝の女帝にまで上り詰めた人ということ以外はほとんど知らなかった。が、中国の近代化に大きく舵を取ったキーパーソンだったことがよくわかった。頭が良く、政治的な駆け引きにも長じていて、長く政権を実質的に支配していた。当然、そうした人物はねたまれる。暗殺も計画される。大切な人を嵌められる。一番の部下を殺される。日新戦争の時は、実質的な権力を奪われていた時だったから、清国は不当な要求を呑まされた。この人が実権を握っていたならば、歴史は大きく変わっていたかもしれない。さらに晩年は漢民族支配の新王朝の中で、満州民族出身ゆえに、自分の死後は満州民族が殺されることを怖れ、先に手を打つ。女性ゆえに、少数民族ゆえに、歴史から葬られた偉大なる女傑の生涯の物語は大河のように流れた。

 

西太后秘録 上下巻合本版

西太后秘録 上下巻合本版