Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

片岡義男COMIC SHOW

片岡義男の小説をテーマに7人の漫画家がコミックを描くという面白い試みの本だ。80年代にとても流行した作家だが、当時は、お手軽小説だと受け取られていた。でも、片岡義男をずっと読んでいくと、ドライで、クールで、歌謡曲で、ハワイな、独自の世界観が見えてくる。小説の舞台によって、まさにアメリカンな世界から、日本のとくにサラリーマンの世界まで、さまざまな人々を描いている。それを漫画家たちが自分の画風でコミックにしていて、どれもタッチが違っていて面白い。面白がる部分がそれぞれ違っているということだ。

最近、80年代のKADAKAWAブームを知らない若者たちが、片岡義男を再発見しているようだが、今の世代の方がふつうに、空気感を受け入れられると思う。当時、テレビや映画、雑誌POPEYEなどを通して、「カッコいいはず」のものとして伝えられたアメリカ的なカルチャーは、さまざまなチャネルから情報を得ている、今の若者たちにとっては、好き勝手に解釈して楽しめるはずだからだ。この本のような企画が出てきたのも、そんな自由な発想から生まれたのではないだろうか。

付録には、テリー・ジョンソンが描いたコミックブックがついている。テリーもまた、アメリカンPOPが好きな作家で、変わっていないんだなと嬉しくなった。二人を結びつけて考えたことはなかったが、同世代だし、仲が良くてもまたく不思議はない。

左右社から。