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アリババの経営哲学

ジャック・マーという人は面白い。インターネットのことがよくわからず、プログラミングもまったくわからないときに、インターネットの会社を起業すると決めて、実践し、アリババという会社を世界有数のB2B取引の会社にし、そして今度は、その会社を辞めて、教育の改革をするのだという。アマゾンやグーグル、facebookなどの創業者とも比べられるが、この人は桁外れだ。大学受験に二度失敗しているし、会社の面接に行っても、彼だけが断られたこともある。会社が大きくなるまでは、中国政府からも阻害を受けていた時期もあるが、とにかく信念をどこまでも貫くのだ。座右の銘が「Never Give Up!」ということであり、いくつも会社をつぶし、そこから学んで、次のステップを決め、今の地位を築いた。貧乏な青年が世界有数の大富豪になるまでのストーリーは、チャイニーズドリームであり、その速度がものすごい。創業からわずか十数年で世界を席巻する会社に育て、今後は他のスタッフに任せてしまい、自分は新たなチャレンジをはじめるというのだ。人の数倍もの人生を送ろうとしている。

彼の考え方はユニークで、「顧客第一、従業員第二、株主第三」と言い切っている。チームワークの重要性を説き、個性を活かすチームを作り上げることで、凡人が非凡を成す、と言い、それを具現化してきた。そして、社員のために合同結婚式を開いて、その費用を会社で負担したり、会社の周年行事の際には、自らマイケル・ジャクソンのコスプレで登場するなど、おもしろいオジさんだ。そもそも、アリババは大企業支援ではなく、中国の中小企業をサポートする会社として創業した。儲けよりもまず、社会的な意義を考える人なのだ。こんな会社が利潤を上げて、社員もみな幸せそうだというのは、本当にすごいことだ。しかも中国で。安い賃金で、長時間労働パワハラで無理矢理に働かせたりしなくても、仕事はできるし、世の中のためになる会社が実現できるというのは、今時の、いちばんの福音かもしれない。