Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

NASAでは宇宙飛行士の家族をサポートする「家族支援プログラム」があり、家族を大きくふたつに分類していた。「直系家族」と「拡大家族」だ。直系家族はスペースシャトル打ち上げの際、特別室に案内される。打ち上げを間近に見られるというだけでなく、万が一の際に心理的・医学的なサポートを行うためだという。このプログラムの直系家族は1.配偶者、2.子ども、3.子どもの配偶者と定義されている。親兄弟は本人の親友と同じ拡大家族に分類されている。著者の幡野さんは言う。「家族とは『親子』の単位で始まるものではなく、『夫婦』の単位からはじまるものなのだ。同性婚を含め、自分で選んだパートナーこそが、ファミリーの最小単位なのだ。」

幡野さんは、親との関係に縛られて、不幸になっている人たちがかなりいることを教えてくれる。誰もが親を選べない。理不尽な目に遭わされても、親なんだから仕方ないと思うのはやめようと言う。「優先順位を間違ってはいけない。ぼくらはみんな、自分の人生を生きるために生まれてきたのだ。」

幡野さんは余命3年と宣告されてから、人生を見つめ直した。カメラマンらしい、対象に客観的に迫っていく視線で、生きるとは何かを考えた。そして、自らブログで宣言した。それを読んだ読者からいろんな反響があり、もちろん、ろくでもないものもあったけれど、幡野さんの言葉に触発されて自分のことを語りだした人々と、対談をすることに決め、そのうちの何人かとの対話がこの本でも紹介されている。そして自分の最期のことを考えている。奥さんと子どもにとって、どうなのかと常に考えている。自分が選んだ家族のために。

 

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。