Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

生きているのはなぜだろう。

脳の研究者が、生きていることの意味を科学的に明らかにした言説に、あのILMで活躍する若きコンセプトアーティストが絵をつけた絵本。なーんて言ってみたが、まちがってはいないが、大切なものがするりと落ちてしまった。自分は何のために生きているのか、自分に生きている価値はあるのか、と自問した人は多いと思う。みんな生きているだけで価値があるんだよ、と言ってくれる大人はいるけれど、どことなくきれいごとに聞こえて、腑に落ちない。この本では、そうした「気の持ちよう」に生きる意味をもたせず、生命はエネルギーを散逸させる必然の構造であると断言します。だから、生きているだけで宇宙に貢献しているのだと。物事の本質を伝えるやり方が、小説のようで、とてもいいなと思った。小説という仕組みを改めて認識するきっかけにもなった。

 

生きているのはなぜだろう。 (ほぼにちの絵本)

生きているのはなぜだろう。 (ほぼにちの絵本)