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映画 女王陛下のお気に入り

18世紀はじめ、アン王女時代のイギリス。王女は側近サラの意のままに操られていた。ある日、没落した貴族の娘アビゲイルが、いとこのサラを訪ねて王宮へ。彼女は下働きの職にありつく。辛い仕事からなんとか脱しようと、目先の利くアビゲイルは、王女の足の痛みを癒やす薬草を摘んできて、それが効いたことから、サラ付きの侍女に昇格。そしてサラと王女との関係を知り、甘い言葉と手練手管で王女のお気に入りになっていく。

アビゲイルののし上がり方がえげつないが、王家のような閉ざされた社会では権力者に気に入られることが全てなわけで、上の地位に就くための戦略としては正しい。古代日本の天皇や貴族が国政を担っていた時代にも、同じようなことがあったのだと思わせる。またライバルを蹴落とすことでのし上がるやり方は、外資の会社もある意味同じだ。

高い地位から落ちていくサラは、被害者のように見えてくるのだが、ふと、彼女が現在の地位を確固たるものにするまでに同じようなことをしてきたのかもと思わせる。因果応報なのかもしれないと。世の中のことを直接見聞きする機会がないと言う点においては、女王はかわいそうだと思う。今の時代、王室の人々はどのくらい自由に情報を得ているのだろうか。

この映画は照明を使わずに自然光と蝋燭だけで撮影したことで、制作費が抑えられ、その当時の空気感がとてもよく表現されていたように思う。クローズアップショットが多用されていたのは、引きの構図に耐えられるほどの光量がなかったことも理由の一つだろう。上手な役者の演技に支えられ、緊張感のある映画になった。終わり方が唐突な気もしたが、多少なりとも波風が立ったとしても、王宮の日々は延々と続いていく、という印象が残ったので、それは監督の思惑通りということなのだろう。

映画『女王陛下のお気に入り』公式サイト | 大ヒット上映中