Life and Pages

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もつれ

ポーランドを舞台に検察官シャツキが活躍するシリーズの一冊。邦訳は三作目が先に出たが、シリーズとしてはこちらが一作目になる。私立探偵でも刑事でもなく、検察官が捜査に乗り出すという設定は、最近では定番の一つだ。

心理セラピー参加者が死体で発見される。セラピーの影響で自殺したのか。それとも殺人事件か。捜査のプロセスで、ポーランドの歴史が関わってくる。主人公の検察官は仕事のストレスのはけ口を浮気相手に求めようとする。そして正義や正論ではないことを許さなければならなくなり、家族の命を心配し・・・。

現代のリアルは、切なく、身につまされながら、最後のページをめくることになる。スッキリした読後感はないが、そういうこともあるかもなと思う。ポーランドの話だし。ミステリー小説は(おそらく)進化し、読者もまた、さまざまな楽しみ方を学んでいく。そんなことをなぜかしみじみと思った。

 

もつれ (小学館文庫 ミ 3-3)

もつれ (小学館文庫 ミ 3-3)